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発酵食品の積極摂取で、健康長寿を目指そう - 朝日新聞デジタル

 いつまでも若々しく、有意義な人生をおくるため、健康で活力あふれる生活が求められています。その対策の一つに「腸活」があります。朝日新聞Reライフプロジェクトは、腸活とアンチエイジング(抗加齢)の第一人者である京都府立医科大学大学院の内藤裕二教授(生体免疫栄養学)を講師に招き、オンラインセミナー「ウェルビーイングのための腸活」を開催、内藤さんが参加者のみなさんから寄せられた質問に答えました。その内容を5回にわたって紹介します。第3回は「腸に良い食品」についてです。

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内藤裕二先生③

主食は、玄米・黒米・全粒粉のパンなどで

――腸内細菌がエサにしている食物繊維、オリゴ糖をどうとればいいでしょう。

 食物繊維を水に溶ける「水溶性」、溶けない「不溶性」に分類してとるのではなく、普通に食物繊維の多い食べ物をとることでいいと思います。ただゴボウがいいからといって、ゴボウばかりを食べていてもだめです。

 日本人の食物繊維摂取量の不足を補う一番いい方法は「主食」へのアプローチだと思います。やはり3回の主食に何を食べるかで大きくその人の1日当たりの食物繊維の摂取量は変わると思っています。白いご飯がおいしいのはわかりますが、3回に1回は玄米や麦など雑穀を少し入れた、ちょっと黒っぽい、茶色系のご飯にするのがいいと思います。

 最近は赤米とか黒米というものが結構食べやすくなっています。パンの場合でも全粒粉にすることで、明らかに食物繊維の摂取量が上がってくると思います。
ぜひとも主食を変えていただきたい。

 腸内細菌は口から入ってくる食べ物を待っているだけなんです。食物繊維をとらないと腸内細菌のエサが来ないことになります。水溶性食物繊維や発酵食品、オリゴ糖は典型的な腸内細菌のエサになります。

食物繊維が豊富な果物は、緑のキウイ!

――食べ物によって、腸内細菌への影響は違うのでしょうか。たとえば、野菜や果物、豆類、主食の米やパンなどはどうですか。

 豆が良いと言いますが、そうは言っても、大豆ばっかりを食べる必要は全然ありません。豆類だったり、根菜類であったり、葉野菜だったり、多様な食材をたくさん食べる。あるいは発酵食品を食べることです。多様な腸内細菌がいることを目標にすると、多様な植物由来の食べ物を食べる、というのが僕はいいと思います。よくバナナがいいと聞くと、バナナがス―パーから消えます。僕あんまりそういうのは好きじゃないんですよ(笑)。

 「果物の中で食物繊維が多いものは何ですか」という質問には、僕は必ず「緑のキウイ」と答えるようにしています。緑のキウイは、おそらく1個あたり3グラム弱ぐらいの食物繊維が含まれていますので。ちょっと価格の高い黄色のキウイだと果糖が多くて甘味が強過ぎます。おそらく食物繊維は緑のものよりも少ない。一般的な緑のキウイの方を僕はすすめます。

牛肉・豚肉・羊肉は腸内環境に悪影響

――肉類や卵、乳製品、魚介類の腸内細菌への影響はいかがでしょうか。

 我々が「レッドミート」と呼んでいる牛肉・豚肉・羊肉というのは、よく間違って「赤肉」と訳される人もいますが、違います。レッドミートには、たっぷり脂肪が含まれていますから、残念ながら僕らは「食べてはいけない」とは言いませんが、レッドミートを1日80グラム以上摂取するというのは腸内環境へ悪影響を及ぼすものだと思っています。

 乳製品に加え、魚介類は一番摂取すべき食べ物の一つ。日本は周囲に海、川や湖がたくさんある自然豊かなところです。お魚が多くとれるので、それをどのように利用していくかが大切です。最近では山の中で魚を育てる人もいますし。

 2050年におそらく地球の人口は100億人を超えます。日本の人口は一億人ですから、地球の100分の1の国になっちゃうわけですよ。世界の人口が増えるわけですから、日本には海外で作られる小麦やとうもろこしが、当然ですけど、入ってこなくなりますよね。そういうことを考えると、孫のために我々は今何を残す必要があるかというと、日本に根付いてきた魚も含め、穀類を含め、麦や米も含め、日本で作り育てていく必要があると考えます。

発行食品

発酵の力 腸活や健康長寿に

――発酵食品、たとえばみそやヨーグルト、チーズなどの腸内細菌への影響はいかがですか。

 発酵食品こそ日本人の腸内細菌に強い影響を与えた食べ物だと僕は思っています。とくにみそです。塩分のことだけは気にはなりますけど、塩分を減らしていただけたら、こんな素晴らしい食べ物はないと思います。「スープよりみそ汁の方が好き」という人の方が腸年齢が若いと踏んでいます。

 京都府立医科大学で糖尿病を研究する先生方のグループも、みその影響をずっと研究しています。発酵の力というのは素晴らしいものですから、日本の発酵文化を、うまく腸活や健康長寿に利用していくという方向性は間違っていないと思います。

 みその研究者の中には、発酵食品の成分の中にビフィズス菌を増やすような食物繊維類似の物質が作られているというようなことを証明されている先生もいらっしゃいます。日本人の腸内にビフィズス菌が多いのは発酵食品の影響があるのではないかという研究発表もすでにあるほどです。

 次回は「腸活と疾病」についてのお話です。

※この記事はオンラインセミナー「ウェルビーイングのための腸活」での質疑をもとに、再構成・加筆しています。

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  • 内藤 裕二(ないとう・ゆうじ)

    京都府立医科大学大学院教授(生体免疫栄養学)

    米国ルイジアナ州立大学医学部客員教授,京都府立医科大学准教授などを経て2021年から現職。日本酸化ストレス学会理事長。専門は消化器病学、消化器内視鏡学、抗加齢学、腸内細菌叢。

  • この連載について / 腸活オンラインセミナーQ&A

    腸内細菌に詳しい京都府立医科大学大学院の内藤裕二教授(生体免疫栄養学)が「腸活オンラインセミナー」で読者会議メンバーからの質問に答えました。生活改善のヒントがあります。

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