
サレジオ学院中学校高等学校(横浜市)は9月19、20日の両日、文化祭「サレジオ祭」を初めてオンラインで開催した。生徒たちはぎりぎりまで時間をかけてオンライン開催の意義を話し合うと、2か月ほどで一気に司会方法を考え、出し物を動画化し、ホームページを作成して2日間の公開に間に合わせたという。その挑戦の軌跡を紹介する。
サレジオ祭2020のスローガンが「Light a Fire」と決定したのは、まだ国内で新型コロナウイルスの感染が拡大する前の2月だった。文化祭実行委員長の劉勇毅君(高2)は、「どんな時も闘志を燃やし続けるという意味で『Light a Fire』としましたが、サレジオ祭の実現に向かって困難な状況を打破し、全力でがんばるサレジオ生の思いを表すものになりました」と話す。
教員側の文化祭実行委員長を務める鵜飼幸一教諭によると、実行委員の生徒たちは前回のサレジオ祭が終わって間もない昨年10月、例年より早い時期から着々と準備を進めていたという。
「毎週会議を重ね、2月には1泊2日の合宿もしましたが、その後新型コロナの感染拡大の影響で、文化祭をいったん白紙に戻さざるを得なくなりました」。教員も生徒も中止は考えていなかったというが、オンラインでの開催も含め、どのような形で実施するか、議論が必要だった。
鵜飼教諭は「当初は校内の展示とオンラインの併用を考えていましたが、状況が日に日に悪化していったため、学校に人を呼ぶことは難しいと判断し、『オンラインで勝負しよう』と実行委員たちに伝えました」と振り返る。
決定を受けた劉君ら実行委員は、参加するクラスや部と調整を図ったが、すべてをオンラインで行うことには反対意見もあったという。「意見の調整が一番大変でした。『人を呼べないのに開催する意味があるのか』という声もありました。しかし、感染などの問題を起こさない最善の方法であることを伝え、サレジオの良さを多くの人に知ってほしいという思いを大切にして頑張ってほしいと繰り返し、説得しました」
開催方式はすべてオンラインとし、各団体は動画で活動を発表することに決定したのは7月上旬だった。開催まで約2か月しかなかったが、「その後の実行委員の行動は素早くかつ的確でした」と鵜飼教諭は言う。
文化祭当日の進行は、ライブで司会をしながら動画を見せていく方式を取った。その方式は、副実行委員長の加藤樹君(高2)たちIT担当の生徒が「Chromebook」を使い、教員にプレゼンテーションして決まったものだ。
当日、司会を担当した劉君は「ある程度台本は用意していましたが、空いた時間はアドリブでつないで対応しました。司会は生配信なので、誰かを不快にしないよう言葉遣いに気を付け、サレジオ生の代表として恥ずかしくないように心がけました」と話す。
「我々教員の想定をはるかに上回る実行力で、実現可能な方法を考え、各学年やクラスにその方法を伝えていってくれました。ホームページの作成と配信を担当した生徒たちの判断や作業ぶりには、さすがデジタルネイティブ世代だと感心しました」
それでも動画を「You Tube」に公開し、それをホームページに埋め込む作業には苦労したという。「動画が送られてくるのがギリギリのタイミングだったので、その作業は大変でした。なかには40分もある大作があり、後輩にも手伝ってもらいながら、前日まで連日作業を続けました」と加藤君は話す。
教員側は、公開する動画の内容に著作権侵害はないか、人を不愉快にさせる表現はないかなどを念入りにチェックした。実際に修正を指示したものもあったといい、鵜飼教諭は「その意味では、彼らが今後、学校に限らず動画配信などをする際の権利教育にもなったと考えています」と話す。
2日間のアクセス数は約4000、総視聴時間は約2400時間に達した。実際に視聴した保護者からは『例年の学校での開催では、同時刻のイベントは見られないけれど、今回はオンラインなので見ることができた』『家族で楽しい時間が過ごせた』と好評の声が届いているという。また、生徒たちにとっても、遠方に住む祖父母にも自分たちの活躍を見せられるという、オンラインならではのメリットがあったそうだ。
ホームページの作成を主に担当した加藤君は「発表は動画で行うことに決めたものの、初めての試みだったので、中学生には難しいかと思っていました。ところが出来上がった作品はどれもクオリティーが高く、短い期間にもかかわらずよく頑張ってくれたと思います」と話す。
劉君も「料理動画や大喜利、『入試問題を解いてみた』、短編映画、ピタゴラスイッチなどなど、みんな想像した以上に見応えのあるものをつくってくれました」と努力をたたえた。
今回の「サレジオ祭2020」を振り返って、劉君は「インターネットで発信する以上、中高生だからという言い訳はできません。責任を感じ、苦労もありましたが、みんなが持ち味を発揮してくれて無事開催することができました。つながりの強さを感じました」とし、加藤君も「初めてのオンライン開催にもかかわらず、みんなで協力して成功させられたことは自信になりました」と話した。
来年度以降、新型コロナウイルスの感染は終息に向かうのか、予想はつかない。その中でオンライン開催が新しい可能性を開いたことは間違いない。鵜飼教諭も、「今年、実現できませんでしたが、全国にある兄弟校と一緒に開催しようというアイデアがあります。今声をかけているところです」と積極的に語る。
「Light a Fire」。これからもさまざまな困難に立ち向かう生徒たちにとって、このスローガンは記念すべき言葉として記憶に刻まれることだろう。
(文:山口俊成 写真:中学受験サポート 一部写真提供:サレジオ学院中学校高等学校)
サレジオ学院中学校高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら。
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