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強烈な個性のステーションワゴン 新型プジョー508SWに試乗 - asahi.com

ステーションワゴンに興味があるだろうか。SUBARUやマツダといった国産メーカーもステーションワゴンが得意だし、ドイツにも魅力的なモデルがある。一方、フランスも伝統的にステーションワゴン作りがうまいと思う。

【TOP写真:プジョー508SW。2リッターディーゼルの好感度が高いが、1.6リッターガソリン仕様もある=プジョー・シトロエン・ジャポン株式会社提供】

シトロエンにもルノーにも荷物がいっぱい積めるワゴンがあったし、プジョーもしかり。404(1960年)や504(70年)のブレック(ステーションワゴン)などは今もフランスで見かけるぐらいだ。

サイドウィンドーの上下幅を狭めに見せてスポーティーさを演出(写真=プジョー・シトロエン・ジャポン株式会社提供)

サイドウィンドーの上下幅を狭めに見せてスポーティーさを演出(写真=プジョー・シトロエン・ジャポン株式会社提供)

2019年に日本で発売されたプジョーの新型「508SW」もやはり“伝統”にのっとっている。機能的でありながら、運転する楽しみもそれなりにあり、かつスポーティーなルックスという新しさが加わった。行楽に出かけたら楽しそう。

あいにく、新型コロナウイルス感染拡大を受けての緊急事態宣言。カーゴスペースに荷物を入れての遠出の楽しみはしばらくお預けになっているけれど、なんとか難局を乗り切って、ドライブに出かけたいもの。

プジョー508SWは、これで2代目になる。11年登場の初代は、ちょっとヘンなクルマだった。とくにデザインは。セダンでは、無理して個性を出そうとして(フランス車では時々こういうことがある)トランクを後からつけたようなスタイルなのだ。それに比べればワゴンはマシだったが、この2代目でよりバランスがよくなった。

ダッシュボードにはナビゲーションなどインフォテイメント用タッチスクリーンとその下に各種操作用のピアノキーが並ぶ

ダッシュボードにはナビゲーションなどインフォテインメント用タッチスクリーンとその下に各種操作用のピアノキーが並ぶ

スタイルはスポーティーさを強く押しだしている。ボディーには横基調のラインを何本も入れて全高を低く感じさせるとともに、フロントマスクはヘッドランプを中心に精悍(せいかん)さを演出。リアビューも、いわゆるエッジの立ったラインで個性を打ち出している。

508SWは、これまでの実用的なスタイルからすこし離れた。それでも、感心するのは、カッコよさ優先のようなスタイルでありながら、先代より荷室容量が182リッター増えて530リッターも確保されているなど、機能がしっかり確保されている点だ。

私が乗ったのは、「508SW GT BlueHDi」というモデル。1997ccのディーゼルエンジンを搭載した前輪駆動車だ。GT(グランドツアラー)とついているだけあって、なるほど、操縦すると、足回りがしっかりしていて、カーブを曲がるときの車体の傾きが少ない。

ナッパレザーシート、ナイトビジョン、フルパークアシスト、360度ビジョン、パノラミックサンルーフはパッケージオプション

ナッパレザーシート、ナイトビジョン、フルパークアシスト、360度ビジョン、パノラミックサンルーフはパッケージオプション

エンジンは遮音性がいま一つだけれど、その一方でパワフル。なにしろ400Nmの最大トルクが2000rpmから発生する。そこで、軽くアクセルペダルを踏んだだけで、力強く加速するのだ。

ただでさえ低回転域で力のあるディーゼルエンジンの特性に加え、やはり低回転域で利くターボチャージャーの設定のせいだろう。この加速性も、スピード感を身上とする「GT」が車名に入っているだけある、という感じ。

外観は、ドイツ車をライバルにすえたような、アグレッシブな印象だ。前後のフェンダーの張り出しも強調されていて、アウディなどドイツ車好きの興味を引きそうではないか。それでいて、フロントのポジションランプをライオンのキバのように、下まで伸ばしたことで、他にない個性的なフロントマスクを作っている。

荷室の開口部は「ファストバック」(セダン)に対して30ミリ低く、24ミリ幅広で実用的

荷室の開口部は「ファストバック」(セダン)に対して30ミリ低く、24ミリ幅広で実用的

デザインの独自性でいえば、内装のオリジナリティーはさらに高い。強烈といったほうがいいかもしれない。ひとつは、ダッシュボードにピアノスイッチをずらりと並べたこと。もうひとつは、ステアリングホイール。円でなく、上と下を真横に断ち切ったような独自の形状だ。

ドライビングポジションも独特。ステアリングホイールを握るとき、腕を少し上のほうに伸ばして、親指が10時10分あたりにくるのが一般的なものだが、508SWだとポジションが少し違う。上から腕で抱え込むような印象なのだ。うまく説明するのはむずかしいけれど。この運転姿勢はスポーティーとはいえない。

もちろん美点はしっかりある。乗り心地はけっこう快適で、室内スペースも大人4人に十分なほど確保されているところだ。電子制御ダンパーを組み合わせた「アクティブサスペンション」がプジョー車として初採用。とりわけ「スポーツ」を選ぶと、びしっと落ち着いて、よい。冒頭で触れたとおり、長距離ドライブにも向いているのである。

キバのようなポジションランプで個性が演出されている

キバのようなポジションランプで個性が演出されている

508SW GT BlueHDiの価格は517万円。運転支援システムなど、標準装備は豊富だ。車両価格をみたら、メルセデス・ベンツC180ステーションワゴン(518万円)も競合するが、装備をふくめたお買い得感でいえばプジョーが上だ。ボルボV60 T5(514万円)がより直接的なライバルだろう。

これらの競合ステーションワゴンになくて、508SW GT BlueHDiに備わっているのは、リッターあたり16キロを超える(現実的なWLTCモード)燃費と、トルク感が気持よいディーゼルユニットだ。状況が好転したら遠くまで行こう、と夢をふくらませている人は、一度体験してもいいクルマだと思う。
(写真=筆者)

【スペックス】
車名 プジョー508SW GT BlueHDi
全長×全幅×全高 4790×1860×1420mm
1997cc直列4気筒ディーゼル 前輪駆動
最高出力 130kW(177ps)@3750rpm
最大トルク 400Nm@2000rpm
価格 526万6000円(消費税込み)

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PROFILE

小川フミオ

クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろな角度から取り上げた記事を、専門誌、一般誌、そしてウェブに寄稿中。趣味としては、どちらかというとクラシックなクルマが好み。1年に1台買い替えても、生きている間に好きなクルマすべてに乗れない……のが悩み(笑)。

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