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新型コロナ:アイヌ文化施設が開業再延期 コロナ逆風で試練の出発 - 日本経済新聞

アイヌ文化を学べる「民族共生象徴空間(ウポポイ)」が、新型コロナウイルスに翻弄されている。1カ月の延期を経て29日開業を予定していたが、政府が緊急事態宣言の期間を5月末まで延長したことで8日、再延期が決まった。政府が200億円を投じて整備し年間100万人の来場者を目標に掲げるが、開業日は見通せない。いきなり逆風下のスタートだ。

ウポポイのイメージ図

ウポポイのイメージ図

ウポポイは国立アイヌ民族博物館など複数の施設を備える(北海道白老町)

ウポポイは国立アイヌ民族博物館など複数の施設を備える(北海道白老町)

「職員1人1人思うところはあるはずだが、準備の時間と思って安全対策に努めるしかない」。ウポポイを運営するアイヌ民族文化財団(白老町)の担当者は8日、開業再延期についてこうコメントした。ウポポイはもともと4月24日に開業予定だったが、直前に1カ月延期になっていた。

ウポポイはアイヌ語で「大勢で歌うこと」を意味し、アイヌ文化を学び体験できる施設だ。国内初となるアイヌ民族文化の国立博物館を核に、アイヌ文化を体験できる国立民族共生公園や慰霊施設を備える。札幌から車やJRで1時間程度で行ける。入場料は大人が1200円、中学生以下は無料だ。

既にウポポイのコンテンツの「仕上がりは上々で、後は精度を上げるのみ」(同財団の野本正博文化振興部長)という段階だった。野本部長ら140人のスタッフは約2年かけてアイヌ民族の歴史を学習。伝統の歌や踊り、独特の発声法の練習を重ねてきた。目玉は各地の伝統を集約し1つにした舞踊だ。来場者には国立博物館でアイヌ民族について学んだ後に舞踊を見て「アイヌ文化は過去ではなく、若い担い手の中に息づいていることを感じてほしい」(野本部長)という。

海外からの集客もにらみ、北海道は英国などでPRイベントを実施してきた。海外では米国立アメリカ・インディアン博物館をはじめ、北欧やニュージーランド、台湾など各地に先住民族の展示を主とする国立博物館がある。アイヌ文化を正しく世界に発信する施設としてウポポイが開業する意義は大きい。

札幌や小樽など道内の多くの地名にはアイヌ文化が色濃く残っており、道北や道東にはアイヌ民族を紹介する施設がある。野本部長は「ウポポイを入り口にして他の地域に根ざしたアイヌ文化にも関心を持ってもらいたい」と話す。

開業が延期されたが、ウポポイの修学旅行の予約は好調だ。夏までの予約の多くは早い段階で秋以降に振り替えられた。道外の学校のキャンセルもあるが、それ以上に新規申し込みが多い。5月1日時点の申込数は小中高校の合計で約412校で、1月から5割増えた。このうち日程を振り替えたのは187校に上る。

コロナ問題が長期化する中、運営側は開業後の「3密」を避ける対策を急ぐ。一部の体験プログラムは人数を減らしたり中止したりする例も出てきそうだ。また、消毒やスタッフの検温なども徹底させる構えだ。

ただ、開業できたとしても、知名度の向上はこれからだ。2月に北海道が独自の「緊急事態」を宣言した際、記者会見した鈴木直道知事の背景パネルに掲載されたウポポイの広告がSNS(交流サイト)で話題を集めた。北海道が2月に実施した調査で、ウポポイの道内の知名度は72.4%と19年11月調査から18.8ポイント上昇したが、道外は4.2ポイント上昇の10.4%にとどまった。同財団は「道外の修学旅行生を呼び込んで知名度アップにつなげる」(誘客広報課)考えだ。

(向野崚)

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May 10, 2020
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