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イタリア文化会館で抽象彫刻家、カルロ・セルジョ・シニョーリの魅力に迫る。 - カーサ ブルータス

カルロ・セルジョ・シニョーリは、イタリアを代表する抽象彫刻家だ。2月14日から行われる彫刻&写真展『Le Paradis Terrestreー地上の楽園』では、写真家・中村治が撮り下ろしたシニョーリ作品30点と、初来日となる彫刻作品5点が展示される。

シニョーリは、ピカソやデュシャン、 ジャコメッティらとともにパリで活躍。1949年に歴史上初めて大理石による抽象彫刻モニュメントを制作したことでも知られている。

日本との関係が深い。1963年、東京オリンピックの前年に真鶴で開催された世界近代彫刻シンポジウムに招待され、小松石を使った彫刻作品を制作。他の彫刻家の作品とともに国立代々木競技場周辺に飾られた。また、シニョーリは真鶴での制作過程を撮影した写真家の冨美枝と婚姻関係を結んでいる。彼の代表作ともいえる《Bambū 竹》は日本人の妻に捧げた作品とも言われている。

イタリア・カッラーラに美術館が建てられる計画もあったが、彼の死やさまざまな理由により頓挫。行き場を失った作品たちは遺族によって、カッラーラ市内の倉庫に保管されてきた。写真家の中村は、シニョーリの死からちょうど30年が経過した2017年秋、撮影のためカッラーラの倉庫に足を踏み入れたときのことをこう振り返る。

「その時のショックと悲しみは、忘れることができません。(中略)重要な彫刻家の作品が、所狭しと倉庫に押し込まれ、分厚い埃にまみれていたのです」

中村は、カッラーラの倉庫に保管されていた、大小さまざまな全115点の彫刻作品を、シニョーリと所縁の深い日本人彫刻家の安部大雅とともに2週間かけてすべて撮影するに至った。今回、お目見えする30点の写真は、その際、撮影されたものだ。

『Le Paradis Terrestreー地上の楽園」では、ファシズムに反対し、激動の時代を駆け抜けたシニョーリが根底に持ち続けた想い、そして、日本女性に恋し、日本の文化に出合うことでシニョーリの作品が持つにいたった表現の深みを目の当たりにできるはずだ。

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February 02, 2020 at 09:55AM
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