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驚きのある一皿に 伝統的なフレンチの技法をベースに自己流アレンジ - 徳島新聞

 培ってきた経験と技術で生み出される一皿。素材が持つ味を存分に引き出し、独自の世界観で作る一品一品がお客の舌を唸らせる。見目麗しい料理で注目を集める、徳島の若き料理人の物語。

レストラン Loup 佐竹博規さん(33・阿南市出身)

 のどかな田舎の風景に溶け込み、隠れ家と呼ぶにふさわしい特別感をまとう。阿南市羽ノ浦町の「レストラン Loup(ルゥ)」はオープンしてわずか2年ながら、なかなか予約が取れない店として美食家たちの注目を集める。現在、ランチは1年2カ月、ディナーは半年先まで予約で埋まっている。食通たちを唸らせているのは、オーナーシェフ佐竹博規さんが手がける本場仕込みのフレンチだ。

 阿南市加茂谷地区で生まれ育った佐竹さん。子どもの頃から釣りが好きで、父と一緒に磯釣りや川釣りによく出かけた。釣った魚を自分でさばいたり、アウトドア料理を作るうちに、料理人としての将来を考えるようになった。

 二十歳のとき、辻調グループの「エコール辻 東京」へ入学。「最初はイタリアンがいいかなとか思ってたんですが、フランスから来たシェフの授業を受けたとき、フレンチの繊細さや美しさに惹かれて、どんどんのめりこんでいったんです」

 1年間のカリキュラムを終え、上級校にあたるエコール辻のフランス校で3カ月学んだ。その後、フランス南西部の小さな村、ウジェニー・レ・バンにある三ツ星レストラン「ミッシェルゲラール」で9カ月間、研修生として働いた。

 「厨房ではとにかくスピードが求められました。ジャガイモをむくにしても、綺麗に速くむかないといけない。次々に仕事をこなしていく、という感じです。ちょっと手が空くと“ネトワイエ(掃除)”って言われて、むちゃくちゃ掃除してましたね。職場で最初に覚えた言葉がネトワイエです(笑)。休日は食材の名前を覚えたり、料理本のレシピを書き写したりして必死でフランス語を使うようにしました」

 帰国してからは、東京のフランス料理店3店で6年間腕を磨いた。

 ある程度料理ができるようになったとき、佐竹さんの胸にあったのは「もう一度フランスで学びたい」という強い思いだった。「今、自分がやっていることは合ってるのか。研修時代には気づけなかったことを学び直したいと思ったんです」

 ワーキングビザを取得し、27歳で単身渡仏。プロヴァンス地方のエズ村にある2つ星レストラン「シェーブルドール」で働かせてもらった。「自分が担当する料理がどういう料理なのかを理解して作る。指示されて下ごしらえや下処理をしていた研修時代とは見え方がまったく違いました。本気で来ていると認めてもらいたくて、皆より1時間早く店に出てセッティングを整えたり、休憩時間にシェフの試作を手伝わせてもらったりするうちに、任せてもらえる仕事が増えていきました。どんどん面白くなっていきましたね」

 シェーブルドールで半年、さらにシェフの紹介でリヨンにある2つ星レストラン「ギィ・ラソゼ」に半年、合わせて1年の研鑽を積んだ。

 帰国したのは28歳のとき。修業したフランスの店のように、地元の食材を使って料理をしようと故郷阿南での出店を決めた。

写真を拡大 約20種類のハーブが植えられた庭。今秋、ガゼボがお目見えし、パティシエが焼くケーキや焼き菓子の販売を始めた。

 みかんを栽培していた実家の土地を利用し、約1年半をかけて開店準備を進めた。こだわったのはフランスの雰囲気を感じられる庭。ハーブを中心にたくさんの植物で彩り、店内から眺めたり、料理に使えるようにした。オープンは2018年7月。身につけた伝統的なフランス料理の技法をベースに、自己流のアレンジを加えたコース料理を提供する。食材は県産の肉や魚、加茂谷地区で獲れた野菜と庭のハーブだ。

 ランチは3000円、ディナーは5500円のコースが基本。取材日のランチのアミューズ(最初の小品料理)に登場したのは、丸石を敷き詰めた木箱。驚くべき装いでそこにはアートさながらの、ひと口サイズの料理が3品。一つは佐竹さんがすぐ近くの那賀川で釣った鮎のベニエ(衣揚げ)、もう一品はミンチ肉とタラゴン(ハーブ)を混ぜて包んだパイ。そして、加茂谷のパン屋さん「しげパン」の食パンをクルトンにしたサンド。中に挟んだのは、エビと豚肉、飴色に炒めた玉ねぎをタイム入りの自家製マヨネーズで和えたもの。ハーブを刻んで合わせたクリームチーズが添えられている。

写真を拡大 ランチコース(3000円)の前菜一例。中央が伊勢海老のサラダ。下にはクスクスが敷かれている。自家製マヨネーズとトマトソースを合わせたソースが覆う。

 次に出される前菜プレートには、県南で獲れた伊勢海老のサラダや、マグロとタイのタルタル仕立て、ヤリイカのバルサミコソテーが賑やかに。そしてメインは肉or魚のスタイル。加茂谷牧場で育った阿波牛のローストには、牛骨から8時間かけて取るフォンド・ボーのソースがかかる。一方、鳴門で獲れた真鯛はポワレにし、薄く切ったジャガイモがウロコのように飾られる(料理の内容は仕入れる食材により変わる)。

 一品一品に積み上げてきた経験と技術を注ぎ込む佐竹さん。「1年越しの予約をいただいているのに、中途半端なものは絶対に出せません。満足してもらえる料理を作っていきたいです」次なる展開として、阿南市加茂谷地区の実家を改修し、カフェと産直を備えた店を準備しているという。33歳、新進気鋭の料理人が生み出す絵画のような料理が故郷の街の未来を描いていく。

【メニュー】
・ランチコース(3000円)
・ディナーコース(5500円〜)

住所=徳島県阿南市羽ノ浦町岩脇原平97
0884-28-9901(完全予約制/現在予約できるのはディナーのみ)
営業時間=ランチ12:00~15:00
     ディナー18:00~20:30
予約受付は10:00~12:00、15:00~18:00
定休日==火曜・水曜休

駐車場:あり
完全個室:なし
多機能トイレ:あり
敷席:なし
Wi-Fi:あり
開店:2018年

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November 09, 2020 at 09:00AM
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