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東北文化の「奥深さ」に感動、「いつも新しい発見がある」 - 読売新聞

 読売新聞朝刊で連載され、単行本化された浅田次郎さん(68)の小説「流人道中記」(上下巻、中央公論新社)は、20万部超えのベストセラーとなっている。舞台は幕末の奥州街道。今回、浅田さんが電話インタビューに応じ、東北地方に対する思いと創作秘話を語った。

 ――玄蕃と乙次郎は、仙台のろう獄で、死罪が決まっている16歳の亀吉と出会います。連載中、読者から助命嘆願がたくさんありました。

 舞台になった七北田の刑場跡は取材で偶然見つけました。行ってみて驚いたけれど、あんなに恐ろしい場所、怨念を感じさせるような場所はない。昔の資料だけではなく、現代の死刑囚に関する本も読みました。亀吉がかわいがっていたすずめを握りつぶす話も、実際の手記にあったエピソードです。

 ――亀吉は身に覚えのない主殺しの罪を着せられました。玄蕃たちがどう関わっていくのか気になる読者も多かったようです。

 亀吉の話は、武士が司法官であり、行政官であり、軍人であり、すべての権威であるという一権集中が生んだ出来事と言えます。それを懐疑する玄蕃と理解していく乙次郎――という構図がこの物語全体のテーマにつながっていきます。

 ――七北田の後は、すぐ北の富谷宿にも取材で寄ったそうですね。

 東北であれだけきちっと宿場町が残っているところは珍しいです。ロケーションからいうと、東北の宿場町は観光客を誘致するのが難しいと思うのですが、どこも頑張ってほしいと思いますね。

 ――浅田さんは、「壬生義士伝」で盛岡藩を脱藩した人間を主人公にしていますが、東北とのかかわりは。

 若い頃、婦人服の営業で、藤崎や十字屋など、東北各地の百貨店を車で回っていました。仙台は「伊達者」の通り、おしゃれな男性が多いですね。いまだに伊達政宗のダンディズムが生きている。岩手は娘が進学した場所で、すごくいい街だと気に入りました。

 実は、物語を山形や秋田を通る街道にしようか迷っていたんです。一層未知の部分が多い気がしたからです。東北の文化の奥深さには感動します。古い精神性が残る一方、いつも新しい発見があるし、城下町はどこに行っても文化的に成熟している。食べ物もワンランク上ですね。物語に出てくる仙台味噌も好きです。八丁味噌と相性が良くて、ブレンドすると、ほどよい塩加減と甘さの味噌汁ができるのでオススメです。東北の温泉も大好き。今は行けないけれど、以前は暇があればこっそり行っていました。

 ――東北の人たちの精神性とは。

 全体的にまじめ。まじめで頑固で押しが強くて粘り強い。東北6県、共通していえるのでは。洋服の商売をしていた頃から思っていたけれど、東北の人間はスローペースで粘り強い。商売をやっている人はみんなうなずくと思います。

(聞き手・東北総局 川床弥生)

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July 16, 2020 at 08:00AM
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