Search

映画文化の担い手とは ミニシアターの危機と希望 - 日本経済新聞

上映時間は5時間17分。濱口竜介監督の「ハッピーアワー」(2015年)という作品を、映画館の暗闇で見た人は幸運だ。

感染症対策を講じ、6月1日から営業を再開したミニシアター(東京都渋谷区)

感染症対策を講じ、6月1日から営業を再開したミニシアター(東京都渋谷区)

感染症対策を講じ、6月1日から営業を再開したミニシアター(東京都渋谷区)

感染症対策を講じ、6月1日から営業を再開したミニシアター(東京都渋谷区)

世界が知るところとなった才能を育んだのは、興行的には〈常識外れ〉の長尺映画を評価し、上映を決めた街角の小さな劇場だ。

新型コロナウイルス禍で、資本力に乏しい小規模映画館の存続が危ぶまれている。緊急事態宣言が解除され、6月から客席の間隔を広げるなどの感染症対策を取り、営業を再開した。が、力尽きた劇場もある。

山形県鶴岡市唯一の映画館「鶴岡まちなかキネマ」が5月下旬に閉館した。

同県で撮影された映画「おくりびと」が米アカデミー賞外国語映画賞に輝いたことをきっかけに、地元有志が10年前に立ち上げた。赤字が続くなか、営業自粛要請が追い打ちをかけた。

巨費を投じた内外の新作は、大画面と最新の音響を備えた「シネコン」で上映される。全国のスクリーン数のうちシネコンの割合は9割近くを占める。

一方、映像文化の多様性を支えているのは小規模劇場だ。日本で公開される作品の7割ほどがミニシアターで上映される年もある。

香港の民主化運動のドキュメンタリー映画「乱世備忘 僕らの雨傘運動」を上映し、デモに参加した若者たちと日本の観客が語らうイベントの場を提供したのはミニシアターだ。

本作の配給会社「太秦」の小林三四郎社長は、「自国で作品を公開できないアジアの映画人は、日本を目指す。ミニシアターは、国ができない文化のハブ機能を果たしている。役所の垣根を越えてコロナ危機への支援を」と呼びかけた。

〈垣根〉とは何か。

映画の振興は文化庁、映画館の営業に関する法律は厚生労働省、映像文化の海外発信などは経済産業省が所管する。

作品の目利きであり、人々に鑑賞の場を提供する小劇場は単なる「箱」ではない。映像文化の主たる担い手なのだ。コロナ危機はそのことを再認識させてくれた、と小林さんはいう。

内外の佳作をいち早く上映してきたユーロスペース(東京・渋谷)の北條誠人支配人は訴える。

「私たちは毎日、映画を上映しているだけの仕事。でも、皆さんを『よかったね』という幸福な気持ちにさせることもできる。文化庁は、ミニシアターを芸術団体として認めてほしい。それは単なる夢ではなく、希望なのです」

文化庁は、客足が途絶え、危機的な状況にある文化芸術団体を支援するため「文化芸術復興創造基金」を新設した。民間から寄付金を募り、各団体に配分する方針だ。

舞台芸術、伝統芸能などに限らず、基金をミニシアターにも配分したらどうだろうか。多様な表現の場を守る文化政策としての意味は大きいはずだ。

(和歌山章彦)

Let's block ads! (Why?)



"文化" - Google ニュース
June 07, 2020
https://ift.tt/3dFhYlT

映画文化の担い手とは ミニシアターの危機と希望 - 日本経済新聞
"文化" - Google ニュース
https://ift.tt/33JSEW7
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update

Bagikan Berita Ini

0 Response to "映画文化の担い手とは ミニシアターの危機と希望 - 日本経済新聞"

Post a Comment

Powered by Blogger.