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スティーブ・ジョブスも魅了した石岡瑛子が手がけた、伝統的オペラの革新的衣装のすごさ - goo.ne.jp

スティーブ・ジョブスも魅了した石岡瑛子が手がけた、伝統的オペラの革新的衣装のすごさ

オランダ国立歌劇場<ネーデルランド・オペラ>「ストリーミング・オペラ」のトップページより/<ネーデルランド・オペラ>のサイト(「ニーベルングの指環」の配信は6月7日まで) https://ift.tt/3extujl /YouTubeのプレイリストからも観られます https://www.youtube.com/playlist?list=PL6LTjzHW3ksuS9kaPzPjol2U4VlL06rvS

(AERA dot.)

 世界中で多くの劇場やホールの営業自粛が続くなか、再開を心待ちにするファンのため、過去に上演された名作をオンラインで公開する取り組みが広がっている。新国立劇場の「巣ごもりシアター」、歌舞伎座の舞台配信などの映像を楽しまれた方も多いだろう。

 今回紹介するのは、ヨーロッパを代表するオペラハウスのひとつ、オランダ・アムステルダムの国立歌劇場<ネーデルランド・オペラ>によるオンライン・プロジェクト。現在、ワグナーの代表的なオペラ「ニーベルングの指輪」四部作が、期間限定で無料公開中だ(6月7日まで)。

<ネーデルランド・オペラ>による「ニーベルングの指環」は、国をあげてのプロジェクトとして、1998年に初演された作品だ(今回のオンライン公開は、2014年の再演時のもの)。その衣装デザイナーとして起用されたのが、伝説のデザイナー・石岡瑛子氏だった。彼女はどのような人物だったのか。このオペラとともに振り返ってみたい。

*  *  *
■オペラの歴史的大作がネットで

 ワグナー作詞作曲による「ニーベルングの指環」は、完成まで26年を要したグランド・オペラの歴史的名作だ。

 北欧の神話や伝説を素材にワグナー自身の人生観をも反映させたこの作品は、「ラインの黄金」「ワルキューレ」「ジークフリート」「神々の黄昏」の4部で構成され、通しで上演すると15時間以上かかることから、「音楽史上最長のオペラ」と言われることもある。黄金の指環をめぐって繰り広げられる、「愛と憎しみ」「生と死」の壮大なドラマが見どころだ。

 そんな超巨編をプロデュースするのは、本場のオペラハウスにとっても一大事業。アムステルダム国立歌劇場を拠点とする<ネーデルランド・オペラ>は、伝統的オペラに現代的解釈を加えた斬新な公演を行うことで知られているが、衣装デザイナーに日本人を起用するのは、ある種の“賭け”だったと言えるだろう。

 石岡瑛子氏は、1960年代に前田美波里を起用した資生堂のポスターが話題となり、70年代にはパルコでセンセーショナルなキャンペーンを次々と打ち出した、デザイン界のレジェンドだ。

 80年代にニューヨークに拠点を移してからは、舞台、映画などにも活躍の場を広げ、マイルス・デイヴィス「TUTU」のジャケットデザインでグラミー賞、映画『ドラキュラ』の衣装デザインでアカデミー賞を受賞している。

 ポスターやCM(広告)だけでなく、セットや衣装(舞台・映画)などジャンルを越境する数々の仕事を通じて、没後8年をへて世界的に再評価の機運が高まっているクリエイターでもある。

■スティーブ・ジョブズも大ファンだった伝説のデザイナー

 広告・デザイン評論家で、評伝『TIMELESS 石岡瑛子とその時代』を執筆中の河尻亨一氏はこう語る。

「石岡瑛子は、時代を先取りしていた表現者です。『オリジナルであること』『革新的であること』『時代を超えること』――この3つのルールを自身に課し、狭い日本を飛び出して、ニューヨークやハリウッドのクリエイティブ・シーンに大きな足跡を残しました。実現はしませんでしたが、あのスティーブ・ジョブズも瑛子の大ファンで、彼女にデザインを依頼したくて接近していたというエピソードもあります。

 男性優位の社会の中で、自分のビジョンを形にするために奮闘を続けたという意味では、はたらく女性たちにとって勇気とヒントがもらえる存在でもある。瑛子自身の言葉を借りると、激変するハードなビジネス環境の中で『いかにサバイブするか?』が、彼女の生涯のテーマでした。時代の変化を機敏に捉えて、おおよそ10年に一度、大胆なキャリア・シフトをしているのです。

 そんな瑛子の仕事の中でも、“異色のプロジェクト”と言える『指輪』がネットで手軽に観られるなんて、すごい時代になりましたね。画質もクリアで衣装の細部がよくわかる。ワグナーによる壮大な音楽劇空間の中で、ディテールの表現にまでこだわり抜いた石岡瑛子ワールドも堪能できるのではないでしょうか」

 このオペラのために、石岡氏は2年をかけて全力で衣装デザインに取り組んだ。いいアイデアがどうしても浮かばず、宿泊先のホテルの部屋で見かけたハエからインスピレーションを得て、悪役(ミーメ)の衣装を思いついたこともあったという。

 ほかにもトネリコの樹を刺繍したジャケット(主役の神ヴォータン)、羊頭をモチーフにした杖(結婚の神フリッカ)、頭蓋骨の形をしたメタルヘルメット(ワルキューレの戦士たち)など、見どころとなる衣装やアイテムが盛りだくさん。

 出演者による歌や演技、オーケストラの演奏、セットデザインも素晴らしいが、ある意味ではコスチュームが“主役”のオペラに仕上がっている。音楽や物語だけでなく衣装を楽しみたい人にとってもオススメの“ストリーミング・オペラ”だ。

 おりしも日本国内では、世界初となる石岡瑛子氏の回顧展の準備も進められている(石岡瑛子展「血が、汗が、涙がデザインできるか」/ 11月14日から。東京都現代美術館にて)。当初、この夏に開催されるはずだったが、新型コロナの影響で延期となった。河尻亨一氏による評伝『Timeless 石岡瑛子とその時代』も、同時期に弊社より刊行の予定だ。(書籍編集部 山田智子)

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May 30, 2020 at 03:00PM
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