日本では、幕末の横浜開港期まで四つ足の肉を食べる文化がなかったと言われています。
縄文人は狩猟民族と言われていますが、仏教伝来や陰陽道が盛んになる頃から食肉文化が薄れていったとも言われています。その一方で、牡丹肉だ桜肉だと言って食べていたことから、現在も猪肉や馬肉をそのように呼んでいることもご存知のとおりです。
18世紀初めに編纂された江戸時代の百科事典「和漢三才図会」には、食用として豚が飼育されていることが記されており、調理方法まで紹介されています。同書には、他の獣肉の調理方法まで紹介され、牛肉についても記されています。しかし、その当時、農耕用の家畜であった牛を食する習慣は一般的には根付いていなかったようです。
横浜が開港し、生麦事件・薩英戦争を経て、居留地が山手まで拡張されてから、ワシン坂下の浜辺に日本では初めての牛肉加工場が設置されました。ここから出荷された牛肉は居留地の外国人向けのものでしたが、外国人が牛肉を食べる様子を見て、日本人も牛鍋など食するようになりました。なので日本では本牧から牛肉文化が始まったと言っても過言ではないかも知れません。日本で肉類の消費量が魚介類の消費量を超えたのも2011年からなので、日本で牛肉を食べるという習慣はまだ新しい文化なのだというのも頷けます。
次回は、ここから川辺を歩いていきたいと思います。(文・横浜市八聖殿館長 相澤竜次)
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February 12, 2020 at 10:00PM
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