算数ドリル、宇宙と『機動戦士ガンダム』を組み合わせた「G-SATELLITE(ジーサテライト)」(前回を参照)など、オリンピック・パラリンピックと他分野を掛け合わせることで東京2020大会を国内外にアピールする斬新な企画を推進している天野春果氏(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 イノベーション推進室 エンゲージメント企画担当部長)。Jリーグ・川崎フロンターレで数々の大ヒット企画を手掛けた天野氏は、開幕まで200日を切った中で、現在の盛り上がりの状況をどのように捉えているのか。そして組織委員会で得た “レガシー”とはどのようなものか。天野氏へのインタビューの後編をお届けする。(取材日:2019年12月4日)(聞き手:上野直彦=スポーツライター、久我智也=ライター)
銭湯文化を世界に発信
「G-SATELLITE」の次に考えている企画はあるのでしょうか。
天野 組織委員会の枠組みの中で実行する大きな企画としては、G-SATELLITEがラストです。そもそもこの組織委員会でやりたかったことは幾つかあるのですが、G-SATELLITEを含め、ある程度は実行に移せました。
組織委員会でやりたかったことは、どのようなものだったのでしょうか。
天野 まずはガンダムや『宇宙兄弟』など、日本のサブカルチャーを活かした企画です。それから教育に関する企画や、日本の伝統文化を活かした企画、熱中症対策に関する企画、パラリンピックを盛り上げるための企画など大きく7つありました。
このうち教育分野については、2019年に「東京2020算数ドリル」を都内の全公立小学校に展開することができました。東京2020大会競技のアスリートたちに小学6年生向けの算数ドリルに登場してもらい、アスリートやスポーツの魅力を通じて子どもたちに算数に興味を持ってもらうという仕掛けです。オリンピックと比べるとどうしても露出が少ないパラリンピックですが、この算数ドリルはオリンピック版、パラリンピック版の2冊を1セットとしているため、パラリンピックの露出をオリンピックと同量で展開できるのも自分の中では大きなポイントでした。
組織の枠にとらわれない活動が大事
日本の伝統文化を活かした企画に関してはいかがでしょうか。
天野 日本の伝統文化のひとつである「銭湯」に目をつけました。お風呂から東京2020大会を盛り上げるという企画です。算数ドリルや宇宙と同様、フロンターレ時代に銭湯と組んだイベントを数多く実現してきたので、その知識とネットワークを活かそうと考えました。組織委員会に入る前までは、ゼロから立ち上げる企画を形にしようと考えていましたが、いざ活動をしてみると予想以上に規則・規約・説明・承認取り付け・予算確保などが複雑かつハードルが高く、このまま突き進むと自分の目的としている「ワクワク、ドキドキする企画の実現」までたどり着けないと判断しました。ゼロからではなく、フロンターレで培ったネットワークを活かし実現してきた企画を東京2020大会に応用発展させようと考えを改め動くようにしました。
「銭湯×東京2020」企画も当初は組織委員会の仕掛けとして進めようと考えていましたが、一番重要なことは自分が描く企画の規模や内容をシュリンクさせることなく形にして世に発信することです。そのためには組織委員会の枠で動くよりも別の枠で動いた方が実現できると判断し、銭湯企画を東京都浴場組合にプレゼンしました。
すると、組合の皆さんも「面白い!やろう!」となり、 東京都の支援も受けて「TOKYO SENTO Festival 2020」というイベントを開催する予定となっています。これは東京都の公募事業に応募して実現に結びつけた企画です。5月26日からパラリンピックが閉幕する9月6日までの間、都内約520の銭湯を舞台に様々なイベントなどを開催し、日本の銭湯文化を世界に発信するとともに、文化の面から東京2020大会の盛り上げに貢献するのが狙いです。人気マンガ『テルマエ・ロマエ』の作者であるヤマザキマリさんに、銭湯で古代ギリシャの絵を描いて頂いたり、星野源さんのCDジャケットデザインなどを手掛けている大原大次郎さんにも参画してもらったりするなど、日本の伝統文化以外も取り入れて展開予定です。
熱中症対策とはどのようなものでしょうか。実際、大会期間中の熱中症対策には大きな注目が集まっています。
天野 熱中症対策については、企画プレゼンを何度も行い、手応えはあったのですが実現できませんでした。東京2020大会では形にできませんでしたが、今後絶対に取り組みたいと思っています。その内容について少し触れると、鍵は“氷嚢(ひょうのう)”にあると思っています。
日本の真夏の日中、屋外で開催される代表的なスポーツは高校野球とゴルフですが、その両方とも熱中症になってしまう観客は意外と少ないんです。それは、かち割り氷を食べたり、氷嚢を使ってしっかりと自己防衛をしているからです。そこで、よりカジュアルに持ち歩けて、飲むこともでき、さらには街中で補給できる“ネオかち割り氷”のようなものを作れれば、熱中症で倒れる人をグッと減らせるはずですし、マーチャンダイジング展開も可能です。実現に持っていくためにはまだ詰めなければならない点はありますが、いつか必ず実行に移したいと考えています。
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