食品メーカーによる、教育現場へ向けた食物アレルギーの取り組みが広がっている。食物アレルギー配慮商品を展開するメーカーによるプロジェクトA(オタフクソース、ケンミン食品、永谷園、日本ハム、ハウス食品・以下PJA)は昨年、小学生向けの副読本を発刊。約3万部を東京、大阪など4都府県に配布した。好評だったことを受け、最終的には約8万部を16都道府県の540校へ届けた。
さらに、それをベースにしたオンラインの出前授業を4校で実施。原材料表示や製造法など、メーカー視点による授業が児童の興味を集め、食物アレルギーを持つ本人だけでなく、周囲の子どもたちの理解を深めることとなった。
副読本を作成し2年目となる今年は10万部を用意し、配布先も全国47都道府県へ拡大。副読本を活用した教員からは「食物アレルギーと食はセットで、みんなが考えるべきこと」といった声が聞かれた。食育の重要なテーマの一つとして、認識されつつあると言える。
社会的にはSDGsを意識した小売業による関連商品の展開、メーカーのネットを活用した情報提供や商品販売などが広がりを見せている。非常時用のストック品についても、アレルゲンフリーの食品を備えるのが一般的となった。だが、それでもまだ、関連する商品を必要とする人がいつでも容易に購入できる環境が整っているとは言い難い。こうした社会的な認識の広がりとともに、環境整備も進むことが期待される。
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