大人になってから発症する「大人の食物アレルギー」で困っている人が増えています。成人で多いのが魚や肉、果物や野菜などのアレルギーで、中でも近年急増しているのが「ナッツ」によるもの。さらに、食べ物だけでなく、花粉やペット、化粧品が原因になることもあるそうです。その理由は? 食物アレルギーに詳しい医師に聞きました。
ナッツやピーナッツもアレルギーの原因に(イラスト:ねもときょうこ)
「肉を食べるとじんましんが出る」「普段食べないものでアレルギーが出た」と、大人になってから発症したアレルギーで困っている人が増えているようだ。
食物アレルギーとは、食物によって引き起こされる抗原(アレルゲン)特異的アレルギーのことで、皮膚や目のかゆみ、じんましんだけでなく、口やのどにかゆみや腫れが生じたり、気道が腫れて呼吸困難になるアナフィラキシーを引き起こすこともある。
アレルギーを引き起こすのは、特定の物質を敵と見なして排除しようとする「獲得免疫」だ。その仕組みは感染症に対するものと似ているが、攻撃対象が実際には無害な物である点や、IgEという抗体が中心になって働く点が感染症とは異なる。
『食物アレルギー診療ガイドライン2021』の監修に携わった相模原病院臨床研究センター センター長の海老澤元宏さんは、「食物アレルギーで多いのは卵や牛乳、小麦だが、卵と牛乳は小児期に発症しても成長する過程でなくなることが多い。逆に、子どもの頃にはなかったのに、成人してから発症する食物アレルギーもある」という。
成人で多いのは魚や肉、果物や野菜などのアレルギーで、「近年急増しているのが、クルミやカシューナッツなどのナッツアレルギー。健康効果が知られるようになりナッツを食べる人が多くなったのも一因と思われる」(海老澤さん)。
不思議なことに、成人の食物アレルギーは、原因が食品以外のこともあるという。どんなものが食物アレルギーにつながるのか詳しく見ていこう。
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