新型コロナウイルス感染を予防しながら生活する「with(ウィズ)コロナ」の時代。人との距離を取ったり、食事中の会話を控えたりと、一人一人の慎重な行動が求められている中、マナーの大切さが増している。その原点は相手を思いやることや気遣い。密を避けつつ、相手と良い関係を保つためにはどうしたらいいのか。日本古来の伝統が参考になりそうだ。 (平井一敏)
友人らと食事中に会話する際は、広げた扇子で口元を覆って飛沫(ひまつ)を防ぐ−。そんな感染防止策を提案するのは、京扇子の老舗・大西京扇堂(京都市)十代目社長の大西将太さん(34)だ。平安時代は扇子で口元を隠して話すのがマナーだったといい、「優雅で上品にも映る。日本の伝統文化を見直して」と訴える。
同店など七十業者でつくる京都扇子団扇(うちわ)商工協同組合(京都市)は八月、抗ウイルス機能のある男女兼用の扇子を開発し、加盟店で五千五百円で販売を始めた。扇の裏面に塗った漆喰(しっくい)の主成分の消石灰がウイルスや菌を不活性化させる。表面には厄よけのちまきと茅(ち)の輪をデザインし、抹茶やオレンジなど五色を用意。京都の五花街の芸舞妓(げいまいこ)らも愛用しているという。
コロナ禍前でも、他人の唾が飛んでくると嫌な気分になっただろう。礼儀作法に詳しい国学院大栃木短期大客員教授の村上侑美枝さん=名古屋市=は「マナーは、相手を大切に思う心を形に表して伝えること」と説明。「日本の伝統文化には、場の雰囲気も明るく、美しくして人とのつながりを育む知恵がある。上手に生かして」と話す。
扇子とともに平安時代から使われてきた「懐紙(かいし)」でも口元を隠せる。よく茶席で和菓子の下に敷かれている小ぶりな二つ折りの和紙だ。男女ともに昔の人のように普段から束にして持ち歩けば、ティッシュやメモ帳などの代わりとしても重宝する。扇子もあおぐほか、お盆のように相手に渡す物を載せることもできる。スーツ姿の時はポケットチーフを使うのもいい。
多くの企業や学校でマナーを指導してきた村上さんは「ハンカチを持ち歩かず、トイレでもしっかり手を洗っていない人が多かった」と振り返る。「コロナ禍で危機的状況の今こそ、互いを思いやる気持ち、周りへの気遣いが大切」と指摘するが、できるだけ人と接しないことも求められている中、「マナーを知らない人がさらに増えるのでは」と心配する。
そこで第一歩として勧めるのが、家庭での食卓を通じたマナー教育だ。上座、下座の座り方から箸の使い方、器の持ち方までを家族で学びながら、みんなで同じ速さで食べる練習をする。「常に周りに気を配り、状況や相手に合わせることを身に付けてほしい」と呼び掛ける。
企業の社員研修などを手掛けているNPO法人日本サービスマナー協会(大阪市)は、新型コロナ感染予防策を踏まえたビジネスマナーの指針をホームページで提示。マスクでも笑顔や声が伝わるよう意識することや、相手の真正面は避けて着席すること、オンラインか対面かを相手に選んでもらうことなどを挙げている。同協会認定マナー講師の小池美穂さんは「刻々と変化する状況や相手に合わせて柔軟に対応することが大事」と話す。
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