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アップルがMacを「自社CPU」に切り替えるワケ - 東洋経済オンライン

iPhoneがもたらす新たな「ルールチェンジ」

独自開発のプロセッサー「シリコン」への移行をアナウンスしたアップルのティム・クックCEO(画像:アップル公式YouTubeより)

アップルは6月22日、同社製品の中で最も伝統的な製品ジャンルであるMacに搭載するプロセッサーを、アメリカ・インテル製から自社製へと順次切り替えると発表した。

同社CEOティム・クック氏は「年内にも自社製プロセッサー搭載のMacを発売する」としているが、さらに驚かせたのは移行にかかる期間が2年という点だ。Macには高性能な映像クリエイター向けなど幅広いラインナップがあり、性能の幅が極めて広い。

自社製プロセッサーはiPhoneやiPadでも使われる英ARMが設計するCPUを元にしており、そこに独自の機械学習、グラフィックス、イメージ処理などの回路を統合したものになる。このためiPhoneやiPadと同じアプリを、新しいMacの上では動作させることが可能となる。

移行にはいくつかの技術的なハードルがあるが、アップルは数年をかけて、1つずつハードルを取り外し、また乗り越えるためのハードルを下げてきた。今回のCPUアーキテクチャーの移行は、アップルの事業基盤を強化するものになるかもしれない。

iPhoneがもたらすルールチェンジ

Macはクリエイター向けを中心に一定のユーザー層を確保しているが、ウェブブラウザーなどのアクセス統計から読み取るかぎり、市場での占有率は10%程度と見られる。“パソコン”という枠組みで見た場合、Macの存在感が現在以上に大きくなっていくことはないだろう。

しかしiPhone、iPadと同様に独自開発のプロセッサーを採用すれば、そうした序列を破って急伸することも不可能ではない。アップルが大きなシェアを持ち、市場での支配力も高いiPhoneのスケールメリットを生かすことができるからだ。

かつてインテル製プロセッサーは圧倒的に性能が高く、過去のソフトウェア資産と相まってパソコンというジャンルでは圧倒的な強さを誇っていた。しかし、電力当たりの性能が高くなければ性能を上げにくい昨今のトレンドの中では、むしろ過去との互換性を重視せねばならないことが足かせになっている。

一方、アップルはこれまでにiPhoneを自社設計のプロセッサーへと切り替え、さらにはiPad向けにも展開。その数は20億個に達している。その性能は高く、iPad Pro向けに開発されたA12Z Bionicはモバイルコンピュータとしては、最も高いパフォーマンスを誇る。

Macが独自設計のプロセッサーに切り替われば、インテルの開発・出荷ペースに依存せず、製品とプロセッサーをセットで開発することが可能になる。

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