さまざまなものを失った1990年代のメルセデス
Motor Magazine誌は2006年のメルセデス・ベンツ特集の中で興味深いテストを行っている。そのテーマは、当時新しい形と言われたW245型の初代Bクラスと、熟成を重ねていたW203型の2代目Cクラスを比較して「メルセデス・ベンツらしさとはなにか」を検証するというもの。外観や駆動方式などまったく異なる、その2台の比較テストを振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2006年11月号より)
過去を振り返ってみると、自らが定めた多品種生産による高収益体質への改善という不慣れな拡大戦略の過程において、1990年代にメルセデスは様々なものを失ってしまった。
たとえば商品企画の失敗として挙げられるのはW140のSクラス。品質管理の失敗として挙げられるのはW210のEクラスだろう。そしてセンセーショナルな取り上げ方をされたにせよ、W168のAクラスでは結果的に安全性への揺らぎまでが生じている。
その果てに起こったのがクライスラーとの合併である。メルセデスは一体どうしたいわけ? という話はあちこちから聞かれることとなった。
僕らのような立場では、一般誌や経済紙のベクトルとは違って、品物の出来こそが第一の判断基準となるわけで、会社の方針がどうであれモノが良ければいいんだけどねノノとなるのだが、この時代のメルセデスはやはり様々な迷いがクルマにも現れてしまっていて、乗ってみても脈々と受け継がれたメルセデスライドを失ってしまったかのようなクルマが多かった。特に2000年のCクラスのデビュー時は、「エントリークラスの基幹となるべきクルマがこの体たらくかいな」と衝撃を受けた覚えがある。
そんなメルセデスのクルマ作りにはっきりとした転機を感じたのは、2001年の末に登場したSLからだ。普段乗りではルーズな操作による動きの荒れをなだめるようにクルマが穏やかに反応してくれる。そして飛ばせば飛ばすほどカメラのピントを合わせるように焦点がグッと定まってくる。その特性の移行が限りなくシームレスな、そんなメルセデスライドの神髄が、SLでは確実に蘇っていた。
そして同時に、人間工学の鑑といわれた計器や空調のインターフェースにもきちんと改善の跡がみられたものだから、さしものメルセデスもSLの名は汚せないと反省が入ったのかなあと考えたりもした。
その後Eクラスがフルモデルチェンジされ、Sクラスがマイナーチェンジされという中でそれらに触れるにつけ、メルセデスは確実に過去の経緯を顧みて、彼らの仕事に惚れて大枚をはたいていた膨大なユーザーの信頼を取り戻そうという方向に物作りが傾いてきているな、という実感を得るようになったわけだ。
もちろん全てが劇的に変わるわけではない。たとえば絶品と語り継がれてきたシートなどは、価格競争力を考えるといくらなんでも昔に戻ることはかなわない。でも、核である乗り味に関しては、皆に親しまれてきた価値をなんとか蘇らせようという方向に動きつつあったのだろう。
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May 25, 2020 at 04:31PM
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【ヒットの法則242】伝統的なCクラスと革新的なBクラスの同時試乗に見えたメルセデスらしさ(Webモーターマガジン) - Yahoo!ニュース
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